Research Press Release
細胞内抗体
Nature Immunology
2013年3月4日
抗体は体内の細胞外空間を巡回して、細菌やウイルスなどの病原体に結合することが知られているが、細胞内部のセンサーを刺激して、免疫系の活性化を引き起こす場合もあることが明らかになった。この情報伝達系をもっと詳しく理解できれば、ワクチン戦略の開発に重要な意味をもつかもしれない。
抗体は病原体感染の際に細胞内に運び込まれ、そこで、TRIM21と呼ばれる普遍的に発現される細胞内抗体受容体に感知される。William McEwanたちは、TRIM21が細胞内抗体を認識すると、免疫情報伝達が活性化され、炎症性サイトカインが生産され、免疫応答の結果、抗ウイルス状態がもたらされる。TRIM21による抗体の感知は、DNAウイルス、RNAウイルスの感染や細胞内細菌によって促進されることから、このしくみが、病原体のさまざまな分子的特徴を特異的に認識するパターン認識受容体を介さない、別の免疫活性化経路として機能していることが示唆される。
doi:10.1038/ni.2548
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生態学:人間の移動はすべての陸上動物を上回っているNature Ecology & Evolution
-
健康:女性は運動によってより大きな心臓の健康効果を得られるかもしれないNature Cardiovascular Research
-
化学:シベットコーヒーの秘密は化学にありScientific Reports
-
量子物理学:「時間を逆転させる」ことで量子ダイナミクスを探るNature
-
環境:リチウムイオン電池リサイクルのための国際的な枠組みNature
-
生態学:一部の石サンゴが気候変動を生き延びる可能性Nature
