【神経科学】光の利用によるてんかんの発作の管理
Nature Communications
2013年1月23日
側頭葉てんかんのマウスモデルを用いた研究が行われ、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンを光遺伝学的に調節することによって、てんかんの発作をリアルタイムで止められることがわかった。この新知見は、側頭葉てんかんの新たな治療的介入、つまり、現在の方法よりも支障の少ない介入法の開発に役立つと考えられる方法に関する手がかりとなる。詳細を報告する論文が、今週掲載される。
てんかんには、さまざまな独自の臨床疾患が含まれているが、再発性の自発性発作が起こることが多い。部分てんかん(例えば、側頭葉てんかん)では、初期の発作活動が限られた領域で起こり、ここから進行して脳全体に広がり、意識水準が影響を受けることがあるが、そうならないこともある。現在のところ、側頭葉てんかんやその他のタイプのてんかんに対して必要に応じて適用される治療法として承認されているものはない。今回、E Krook-Magnusonたちは、トランスジェニックマウスの側頭葉てんかんモデルを用いて、脳のいろいろなニューロンで光感受性タンパク質のオプシンが発現するようにした。そして、脳波記録とカスタマイズされたコンピューターソフトを組み合わせることで自発的な側頭葉の発作を検出でき、限られた空間領域で興奮性ニューロンと抑制性ニューロンをそれぞれ直接阻害し、活性化することで側頭葉の自発的発作を停止させられることを明らかにした。
今回はマウスを用いた研究だったが、これによって、現在利用可能な電気刺激装置より優れた方法が新たにもたらされることをKrook-Magnusonたちは期待している。現行の電気刺激装置には、今回の研究で用いられた方法のような特異性と効率性が備わっていない。
doi:10.1038/ncomms2376
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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