Research Press Release
微生物学:ヒト腸内マイクロバイオームの起源
Nature Communications
2012年11月14日
チンパンジーとヒトには、腸内に動員される細菌群集に共通の傾向があることが明らかになった。この新知見は、ヒトの腸内に定着する細菌の種類に影響を与える因子の進化的起源が、これまで予測されていたよりも古いことを示唆している。研究の詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
ヒトは、一般的に、腸内に存在する細菌種の特徴的なパターンをもとに、いくつかの「エンテロタイプ」の1つに分類される。個人のエンテロタイプは、数年をかけて変わることがあり、エンテロタイプの選択は、食餌の影響を受けていると考えられている。今回、H Ochmanの研究チームは、チンパンジーについてもエンテロタイプによる分類が可能で、チンパンジーのエンテロタイプがヒトのエンテロタイプに非常によく似ていることを明らかにした。そして、このような新知見をもとにして、Ochmanたちは、進化の過程におけるエンテロタイプの出現が、ヒトの食餌の多様性に対する直接的応答であった可能性が低いと推論し、エンテロタイプは、ほかの霊長類と共通しているヒトの生物学的特質の諸側面(例えば、免疫系)によって決まっている可能性が非常に高いという見方を示している。
doi:10.1038/ncomms2159
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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