Research Press Release
医学研究:精子生産にブレーキをかけるペプチド断片
Nature Communications
2012年11月14日
ラミニンγ3タンパク質のペプチド断片をラットの精巣に注入したところ、精子細胞の生産が一時的に中断することが明らかになった。この研究結果は、男性用避妊薬の開発に向けた第一歩となる可能性がある。詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
血液精巣関門の透過性の一時的変化は、精子細胞の適切な生産にとって重要な意味を持っており、ラミニンγ3タンパク質によって調節されている。今回、Y Chengの研究チームは、この調節作用を行うラミニンγ3タンパク質内領域を同定した。そして、このラミニンγ3断片と一致する合成ペプチドをラットの精巣に注入する実験では、血液精巣関門の完全性が損なわれ、精子の生産が阻害された。この阻害作用は、注入後に弱まり、精子の生産は、注入から約4か月後に正常なレベルに戻った。
なお、この注入によってラットの生殖能力が低下するかどうか、この合成ペプチドがヒトにも同じ効果があるかどうかという点については、今後の研究にゆだねられる。
doi:10.1038/ncomms2171
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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