Research Press Release
古代の突発的洪水
Nature Geoscience
2012年11月12日
最終間氷期の間に起きたカナダ氷河湖からの大規模な突発的洪水は、北大西洋のラブラドル海にまで堆積物を輸送したと、今週号のNature Geoscience(オンライン版)に発表された論文が報告している。この事象は約8400年前に起きて北半球で寒冷化を起こした突発的洪水と類似しているようである。
Joseph Nicholl等は、最終間氷期の125,000年前から119,000年前の間にラブラドル海に堆積した海洋堆積物を調べた。彼らは、ハドソン湾で得られた堆積物に異常に赤い堆積層があることを同定した。この赤い堆積層は、北米氷床の融解により満たされた大陸湖から大量に流出した水により堆積したと考えるのがもっともらしい。洪水層の年代決定は困難であるが、著者等はこれまでに北大西洋で同定されている寒冷化時期に対応している可能性があると示唆している。
doi:10.1038/ngeo1622
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change