Research Press Release
複合薬が副作用を軽減
Nature Medicine
2012年11月12日
エストロゲンと消化管ホルモンであるGLP-1という2つの薬を組み合わせると、より選択性の高い有望な代謝作用薬ができて、副作用も少なくなるとの報告が寄せられている。
エストロゲンは、摂食行動とエネルギー消費を変化させるため、肥満や2型糖尿病の治療に利用できるとされているが、腫瘍の成長促進など、望ましくない副作用を引き起こす可能性もある。Matthias Tschopoたちは、エストロゲンをGLP-1と化学的に結合させることによって代謝にかかわる組織へと選択的に送り込み、この問題を克服した。この連結化合物は、両方の化合物を単独で投与した場合に比べ、肥満マウスの代謝に対する有益な効果が大きいことも明らかになった。
著者たちは、化学的に連結するこのような方法が、広く使われているグルココルチコイドを始めとして、さまざまな病気の治療に役立つ安全な複合薬につながるかもしれないと考えている。しかし、膵臓β細胞のようにGLP-1とエストロゲン両方の受容体を発現する細胞に悪影響が起こらないことを確かめるには、長期的な毒性研究が必要である。
doi:10.1038/nm.3009
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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