【動物行動】雌のキイロショウジョウバエが求婚者を品定めする方法
Scientific Reports
2012年10月25日
雌のキイロショウジョウバエは、雄の過去の交尾活動を観察することで得られた情報の利用を微調整して、適応的な交尾決定を行うことが明らかになった。この新知見は、雌のショウジョウバエが、2匹の見慣れた個体を区別する能力を進化させ、この能力を用いて、最近交尾活動をしていた雄との交尾を避けることを示唆している。この研究結果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
(雌の卵を全部受精させるだけの精液をもたない)精液不足の雄のキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は、雌のショウジョウバエに高い適応コストを負担させていると考えられている。今回、A Loyauたちは、雌のショウジョウバエが、交尾しているところを見かけたばかりの雄との交尾を避ける傾向があり、この応答を引き起こすうえで、公然の視覚的手がかりがあれば十分であることを明らかにした。また、雄の精液貯蔵の補充に十分な時間が経過した後は、こうした雄との交尾を避けなくなることも明らかになった。こうした行動をとる雌のショウジョウバエは、交尾から抽出した公然の情報を利用し、これを見慣れた個体を区別する能力と組み合わせているとLoyauたちは考えている。今回の研究は、実験室に適応した集団について実施されたものであるため、野生のショウジョウバエが公然の情報をどのように利用するのかを検証するためには、さらなる研究の積み重ねが必要だと考えられる。
doi:10.1038/srep00768
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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