Research Press Release
細胞のストレス応答を解き明かす
Nature Chemical Biology
2012年10月22日
細胞のストレスに対し、IRE1αという二機能性酵素は、まず自らのキナーゼドメインを介して活性化され、それがRNアーゼドメインというもう1つの酵素ドメインの活性化につながる。RNアーゼドメインの活性は、この過程に不可欠な異型RNAを生成することにより、細胞のストレス応答を調節する。小胞体ストレス応答とヒトの疾患との間には関係があるため、IRE1αの活性を調節する物質は、この重要な過程の調節を解明するのに利用したり、治療薬として使用したりすることができる可能性がある。
既報の研究により、IRE1αのキナーゼドメインに結合する物質がRNアーゼドメインを活性化する能力を持つことが明らかにされている。今回、Dustin Maly、Feroz Papaたちは、キナーゼドメインの同じ部位に結合して異なる立体配座を生じさせる物質によってRNアーゼドメインの活性が阻害されることを示した。
doi:10.1038/nchembio.1094
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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