Research Press Release
【材料科学】室温近くでスキルミオンを動かす
Nature Communications
2012年8月8日
室温に近い温度において、非常に低い電流密度で磁性構造体を動かせることが明らかになった。この結果は、新しい全電気的な情報記憶デバイスの設計に利用できるかもしれない。こうした研究結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
X Yuたちは、鉄ゲルマニウムにおいて、室温よりわずか25ケルビン低いだけの温度で、渦状スピン構造を有する磁性ナノ構造体であるスキルミオンを動かしたことを報告している。このスキルミオンの運動は、100 A/cm2未満の電流密度で実現した。これは、金属の磁壁の電流密度の10万分の1にすぎない。今回の研究で得られた知見は、電流に誘起されて生じるスピンテクスチャーの運動を情報記憶デバイスでの応用に近づける可能性を秘めている。
doi:10.1038/ncomms1990
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature