Research Press Release
加齢に伴う記憶喪失の回復
Nature Neuroscience
2012年7月2日
老齢マウスの記憶障害は、脳内でDNAメチル化が減少するのが原因となっている可能性がある。このような研究が、今週のNature Neuroscience誌電子版に報告されている。この発見は、通常の加齢に伴う記憶力の減退の背景をなす潜在的な原因を示唆 している。
メチル化はDNAに付加される印であり、この印の有無は遺伝子が活動(発現)するかしないかに影響を及ぼす。Hilmar Badingらは、老齢のマウスでは、海馬という脳内で記憶の創出や保管に重要なはたらきをする領域でDNAをメチル化するタンパク質が減少していること を発見した。
老齢マウスの脳内においてこのタンパク質を増加させたところ、マウスは若齢マウスとまったく同様の記憶を示した。逆に、若齢マウスでこのタン パク質を減少させると、老齢マウス同様に記憶が損なわれるようになった。
doi:10.1038/nn.3151
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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