Research Press Release
日光による損傷のシグナル
Nature Medicine
2012年7月9日
紫外線Bの照射(UVB)によって損傷を受けたRNAが、炎症や皮膚の損傷の原因になることが明らかになった。免疫系や皮膚細胞がこのようなRNAを認識するのを妨げれば、日焼けや光線過敏症の治療法になるかもしれない。
UVBに曝されると日焼けが起こり、炎症や損傷につながる。Richard Galloたちは、UVBによって皮膚細胞が損傷を受けると、損傷した特殊なRNAが細胞から放出されることを明らかにした。UVB照射されていない皮膚細胞や血液中の免疫細胞がこのRNAを感知すると、炎症誘発因子の分泌が起こる。自然免疫応答を作動させるToll様受容体3(TLR3)をもたないマウスでは、炎症分子が分泌されず、皮膚がそれほど赤くならないことから、UVB損傷による炎症応答には、この受容体が必要なことがわかる。
UVB照射後に生じる他の産物も炎症にかかわっている可能性があり、ヒトでも詳しく検証する必要があるが、今回の知見によって、損傷を受けた皮膚細胞からのRNAが、日光による損傷のシグナル分子として働いている可能性が示された。
doi:10.1038/nm.2861
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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