Research Press Release
社会神経科学特集
Nature Neuroscience
2012年4月16日
今週のNature Neuroscience誌電子版の総説・論説記事の特集では、社会的行動の神経学的基礎が論じられている。
Naomi EisenbergerとAndreas Meyer-Lindbergによる補完的な2本の展望記事は、日常生活における社会因子と身体的、精神的健康とのかかわりについてそれぞれ扱っており、 社会的断絶とストレスは統合失調症などの疾患に対する危険性を高めるのみならず、より身体的な病気と結びついていると指摘している。しかし脳 は非常に可塑性のある臓器であり、Richard DavidsonとBruce McEwenは、瞑想などの治療介入が脳の可塑性を生じよい転帰に結びつく仕組みを概説している。彼らは正の因子、負の因子どちらも脳の構造的、機能的変 化を生じうることを示唆した動物研究にも注目している。
ほかにも特集号ではさまざまな話題の中から、オキシトシン、テストステロンなどのホルモンが動物やヒトで友好性から攻撃性までのさまざまな 社会的行動を調節する仕組みを概説した記事や、脳が他人の気持ちを感じることのできる共感という能力を生み出す仕組みの研究に対する論評を取 り上げている。
doi:10.1038/nn.3087
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:古代のゲノムからアバール人コミュニティーの社会組織と権力の再編が明らかになったNature
-
天体物理学:マグネターの巨大フレアという珍しい現象が観測されたNature
-
創薬:脳オルガノイドを使って神経発達障害の治療法を検証するNature
-
医学:実験室で培養された「ミニ結腸」をがん研究に用いるNature
-
遺伝学:鳥の歌のリズムを調べるNature Communications
-
心理学:画像の特徴は時間の経過の感じ方に影響を及ぼす可能性があるNature Human Behaviour