Research Press Release
海洋における進化
Nature Geoscience
2012年4月9日
世界中で最も重要な独立海洋石灰化生物である円石藻は、海洋酸性化条件に応答して進化できる可能性があると今週号のNature Geoscience onlineに発表された論文が報告している。
大気中の二酸化炭素を海洋が取り込むことによる世界の海洋の酸性化は、海洋石灰化生物に深刻な害を与える可能性がある。これまで、海洋生物に対する酸性化の影響を見る研究は、個体の寿命以内での生理学的応答に注目しており、進化の可能性はほとんど無視してきた。一連の室内実験により、Thorsten Reuschらは円石藻の集団を二酸化炭素濃度を高めた状態に曝して、約500無性世代後の個体の海洋酸性化条件における適応性を評価した。海洋酸性化条件下ではすべての集団が生存状態が悪化したが、二酸化炭素濃度を上昇させた条件で選択された集団は、管理された条件下の集団と比べて成長速度が増大し、部分的に石灰沈着物が回復した。
研究者らは、同時に起きる進化が地球変動に直面したときに海洋微生物の機能を維持することを助ける可能性があると示唆している。
doi:10.1038/ngeo1441
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change