Research Press Release

ビタミンEは骨に悪い

Nature Medicine

2012年3月5日

ビタミンEは、骨を分解する細胞の精製を促進して骨量を減少させるとの報告が寄せられている。ビタミンEを含むサプリメント(栄養補助食品)は広く利用されていることから、この研究結果は、人々の健康にかかわってくる可能性がある。 骨の強度は、骨を形成する骨芽細胞とよばれる細胞と、骨を分解する破骨細胞とよばれる細胞のバランスによって維持されている。破骨細胞は、前駆細胞が融合して作られる。ビタミンEのような脂溶性ビタミンが骨の強度の維持に役割を果たすことはよく知られているが、ビタミンE(α-トコフェロール)の役割はそれほどわかっていない。これまでの研究で、ビタミンEが骨に良い影響を与えることが明らかになっている。この作用は、α-トコフェロールのもつ抗酸化能によるものとされている。 これに対してShu Takedaたちは、ビタミンE欠乏のモデルマウスである、α-トコフェロール輸送タンパク質欠損マウスでは、骨の分解が抑制されるために骨量が高くなることを明らかにした。Takedaたちは、α-トコフェロールが破骨細胞前駆細胞の融合を促進することを発見した。この促進は抗酸化能とは無関係で、破骨細胞形成に不可欠な一連の分子の発現を誘導するためである。さらに、多くの人が利用しているサプリメントに含まれるのに相当する量のα-トコフェロールを餌に加えて健康なマウスやラットに与えると、骨量が低下した。これによって、今回の知見が人の健康にも重要な意味をもつことが明確になった。

doi:10.1038/nm.2659

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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