【神経発達】自閉症スペクトラム障害と乳幼児の亜鉛欠乏症の関係
Scientific Reports
2011年11月4日
乳幼児の亜鉛欠乏症と自閉症スペクトラム障害(ASD)が関連している可能性が、予備的研究で明らかになった。ここでは、ASDの発生病理に乳幼児の亜鉛欠乏症が関係している可能性が示唆されているが、亜鉛のような栄養分の不足を補うという栄養上の処置がASDの乳幼児に役立つかどうかを確かめるには、厳密な比較臨床試験を行う必要がある。この研究について報告する論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。 ASDは、社会的相互作用やコミュニケーション上の問題と特異な思考様式と行動様式を特徴とする一連の神経発達障害を指す。その遺伝的要因と環境的要因と考えられるものについては研究が行われているが、ASDの発生病理は解明できていない。一方、亜鉛は、必須の微量元素で、亜鉛欠乏症は、免疫不全、傷の治癒の遅れ、神経発達障害など、さまざまな病的状態と結びついているとされてきた。 今回、安田寛(やすだ・ひろし)たちは、主治医によってASDと診断された1,967人の子ども(0〜15歳)の毛髪試料の亜鉛濃度を測定し、過去に発表された健常者の亜鉛濃度の参考範囲と比較した。その結果、ASDと亜鉛欠乏症に有意な関連が認められ、特に乳幼児群(0〜3歳)では、男児の43.5%と女児の52.5%が軽度から重度の亜鉛欠乏症であることが判明した。乳幼児は、より年長の子供と比べて、発達と成長に必要な亜鉛の量が多く、亜鉛欠乏症になりやすい、と安田たちは推測している。この新知見は、究極的にはASDの治療と予防のための新たな方法につながるかもしれない。
doi:10.1038/srep00129
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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