Research Press Release
A群レンサ球菌感染症を防御する免疫細胞の一種
Nature Communications
2012年2月15日
免疫細胞の一種が、重症の侵襲性A群レンサ球菌感染症の初期段階を防御しうることが判明した。この新知見は、この免疫細胞が、この感染症の重大な副作用である好中球減少(白血球の一種である好中球が減ること)を補償できることを示唆している。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 A群レンサ球菌感染症の症状は、皮膚感染症のような軽度のものから毒素性ショック症候群のような重度のものまで幅がある。このような感染症の防御には、好中球と骨髄細胞が重要だが、重篤な感染症にかかると好中球の数が減る。今回、阿戸学(あと・まなぶ)たちは、骨髄細胞の一種で、リング状の核を有し、シグナル伝達分子であるインターフェロンガンマを産生する細胞を同定した。この細胞は、やはりインターフェロンガンマを産生する骨髄由来抑制細胞とは明らかに異なっている。阿戸たちは、リング状の核を有する細胞をマウスに導入する実験を行い、重症のA群レンサ球菌感染症に対する防御効果が見られたことを明らかにした。これに対して、インターフェロンガンマの投与は、感染症の後期段階にあるマウスに悪影響を及ぼした。 今回得られた新知見は、この免疫細胞の一種が、初期段階のA群レンサ球菌感染症に対する防御の点で重要なことを示唆している。
doi:10.1038/ncomms1677
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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