Research Press Release

環境:マイクロプラスチックで「ブルー」に―太平洋ゴミベルトの海水の色が変化している

Communications Earth & Environment

2026年11月6日

「太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)」に含まれる太平洋の海域では、2002年から2022年にかけて色が変化したとみられ、青みや緑みが著しく強まった海域もあった。オープンアクセスジャーナルCommunications Earth & Environment に掲載される新たな研究は、海水中のマイクロプラスチック濃度の増加が原因となっている可能性を示唆している。

直径300マイクロメートル未満のマイクロプラスチック粒子による海洋汚染は、現在の測定方法は手間がかかるうえ大規模にも適用できないため、直接測定することが難しい。しかし、室内実験から、このサイズのマイクロプラスチックには、海水中の濃度の遠隔測定を可能にしうる光学特性があることが示唆されている。「太平洋ゴミベルト」は、この遠隔測定の検証に適している。2016年の現地測定で、表層付近の海水1立方メートルあたり17ミリグラムを超える、より大きなマイクロプラスチック粒子が含まれうることが示されたためである。

Shea Cheathamら(ベルゲン大学〔ノルウェー〕)は、2002年から2022年にかけての北東太平洋に関する3つの衛星海洋色データセットを分析した。その結果、太平洋ゴミベルト内およびその周辺において、青色および緑色の波長域で有意な明るさの増加が確認された。これにより、周囲の海域に比べて海水がよりシアン色(青と緑の混合色)に見えるようになったと考えられる。著者らは、次に、マイクロプラスチック濃度が可視光スペクトル全体の海洋の明るさに与える影響をモデルで調べた。あわせて、これらの変化が、海洋色の変化をもたらす一般的な自然要因によっても生じうるかどうかを検討した。その結果、低濃度のマイクロプラスチックでも可視光スペクトル全体で明るさが増し、増加はシアン色の波長域で最大だった。シアン色の明るさの増加は、自然要因のみのシミュレーションでは3%で見られたのに対し、マイクロプラスチックを含むシミュレーションでは13%で見られ、約4倍の頻度だった。また、モデルでは、海水1立方メートルあたり約5ミリグラムのマイクロプラスチック濃度で、このシアン色の明るさの増加を衛星センサーで検出できることもわかった。

著者らは、この結果から、海水のシアン色の強まりがマイクロプラスチック濃度の増加を反映しうることが示唆されると述べている。しかし、衛星データセットによって色変化の推定値が異なることや、ほかの海域では自然環境要因が異なる可能性があることにも注意を促している。また、この知見を裏づけ、今後のモニタリング活動を改善するためには、太平洋ゴミベルト付近におけるマイクロプラスチックの濃度や特性の直接測定が必要であると述べている。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 12(つくる責任、つかう責任)およびSDG 14(海の豊かさを守ろう)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

Cheatham, S., Koestner, D. & Hamre, B. The ocean’s color is changing near the Great Pacific Garbage Patch. Commun Earth Environ 7, 855 (2026). https://doi.org/10.1038/s43247-026-04071-0

 

doi:10.1038/s43247-026-04071-0

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