Research Press Release

神経科学:脳インプラントが発話とジェスチャーを結びつける

Nature Neuroscience

2026年9月15日

麻痺のある人の発話とジェスチャーを同時に解読できる単一の脳インプラントについて報告する論文が、Nature Neuroscience にオープンアクセスで掲載される。この発見は、麻痺のある人がより自然にコミュニケーションできるようにするブレイン・コンピューター・インターフェイスに向けた一歩となる。

自然な人間のコミュニケーションでは、発話に、手を振る、うなずく、ほかの上半身の動きといったジェスチャーが組み合わされることがよくある。脳卒中や筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)などの神経変性疾患は、発話と身体の動きの両方を損なうことがある。そのため、社会的交流の能力が低下することがある。ブレイン・コンピューター・インターフェイスは、脳活動を外部デバイスへの指令に変換することで失われた機能を回復させることを目指しているものの、これまでの研究はおもに発話や動きのいずれか一方に焦点を当ててきた。

Edward Changら(カリフォルニア大学サンフランシスコ校〔米国〕)は、感覚運動野に埋め込んだ脳インプラントを用いて、発声器官と四肢に麻痺のある3人の参加者から神経活動を記録した。著者らは、まず、単一のインプラントで、上肢の動きや、発話に関連する口や顔の動きなど、複数の動きのタイプに関連する信号をとらえられることを示した。これらの動きには、肩をすくめる、拳を突き上げる、うなずくことなどが含まれた。その後、2人の参加者に対して、並列の発話・ジェスチャーデコーダーを用いて全身のアバターを動かすシステムを構築した。参加者には、特定のジェスチャーを試みること、会話の促しに応答すること、またはその両方が求められた。会話タスクにおいて、このシステムは2人の参加者の発話とジェスチャーを高精度に解読した。そのうち1人では、3つの会話ブロックをつうじて、発話とジェスチャーの解読精度の中央値がいずれも100%だった。

著者らは、発話とジェスチャーを組み合わせてシステムを訓練することで、性能が向上し、誤りが減少したことを示した。また、著者らは、この技術を実用化するには、より多くの参加者を対象に、より多くの単語とジェスチャーを用いた試験が必要であると述べている。

Brosler, S.C., Liu, J.R., Silva, A.B. et al. Simultaneous speech and gesture decoding for multimodal communication in paralysis. Nat Neurosci (2026). https://doi.org/10.1038/s41593-026-02446-2


 

doi:10.1038/s41593-026-02446-2

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度