Research Press Release

化学:帯電した雨粒が腐食を促進する

Nature

2026年8月27日

自然に発生する帯電した雨粒が、保護コーティングが施された表面を劣化させ得ることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。これまで見過ごされてきたこの腐食メカニズムは、自動車、船舶、建物、および文化遺産などの金属製の物体や構造物を保全するための新たな方法の必要性を示している。

腐食は、屋外の金属製品や構造物にとって経済面と安全面の課題である。雨による腐食は、これまでおもに、水滴による物理的な摩耗作用や、汚染物質による酸性化が原因であると考えられてきた。これまでの研究では、水滴が植物の葉や窓ガラスなどの身近な表面を滑った後に帯電し得ることが示されていたが、その電荷が金属表面の腐食に果たす役割は十分に検討されてこなかった。

Rüdiger Berger、Hans-Jürgen Buttら(マックス・プランク高分子研究所〔ドイツ〕)は、帯電していない水滴がどのように帯電し、さまざまな材料を腐食させるかを分析した。著者らは、植物の葉、PVC(polyvinyl chloride;ポリ塩化ビニル)発泡ボード、ポリスチレン製ガラス(polystyrene glass)、およびPFOTS(perfluorooctadecyltrichlorosilane;パーフルオロオクタデシルトリクロロシラン)と呼ばれる一般的な撥水コーティングからなる4種類の表面に水滴を落とした。その後、水滴はテフロンコーティングされた銅の上へ滑り落ちた。著者らは、水滴が微小な電荷(0.2~2ナノクーロン)を獲得することを発見した。各表面からテフロンコーティングされた銅板に3000滴が落下した後の観察では、コーティングが劣化し、その下の金属が腐食していることがわかった。水滴が帯電していない場合、表面損傷は観察されなかった。

このような条件下で腐食を抑制し、船舶、自動車、および建物を保護する材料を改良する方法を検討するには、さらなる研究が必要である。

Ni, Z., Li, X., Ratschow, A.D. et al. Spontaneously charged water drops induce corrosion. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10941-6

 

doi:10.1038/s41586-026-10941-6

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