古生物学:初期のドーム頭を持つ恐竜
Nature
2025年9月18日
最も完全かつ最古のドーム頭恐竜として知られているパキケファロサウルス(pachycephalosaur;堅頭竜)を報告する論文が、今週のNature に掲載される。モンゴルの白亜紀前期(約1億1,500万~1億800万年前)の化石は、前頭頭頂骨ドームの起源に関する証拠を少なくとも1,400万年遡らせるものである。
頭蓋骨が厚くなったことでドーム状の頭部を持つパキケファロサウルスは、自己防衛手段として、あるいは社会性行動(配偶者を惹きつけたり競争相手を排除したりする)に役割を果たしていたと考えられている。化石記録における初期の例が不足していたため、この種の恐竜の起源と初期進化を解明する努力は妨げられてきた。
 
この記録の空白を埋める新たな標本をLindsay Zannoら(ノースカロライナ州立大学〔米国〕)が説明した。Zavacephale rinpocheは、モンゴルの白亜紀前期の小型の幼体パキケファロサウルスで、世界最古かつ骨格が最も完全なドーム頭部恐竜であると著者らは報告している。体長は約1メートル、体重は5.85キログラムと推定される。頭頂部のドームが発達していることから、性的に成熟していたと推測される。この発見は、頭頂部ドームの進化における初期段階を明らかにし、この構造の発達過程に光を当てると著者らは結論づけている。
- Article
 - Published: 17 September 2025
 
Chinzorig, T., Takasaki, R., Yoshida, J. et al. A domed pachycephalosaur from the early Cretaceous of Mongolia. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09213-6
 
doi:10.1038/s41586-025-09213-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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