Research Press Release

天文学:天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を回避できるかもしれない

Nature Astronomy

2025年6月3日

最新のシミュレーションによると、天の川銀河(Milky Way)と隣のアンドロメダ銀河(Andromeda)の衝突の可能性は、これまで考えられていたよりも小さいかもしれないことを報告する論文が、Nature Astronomy にオープンアクセスで掲載される。

天の川銀河は、宇宙を移動しており、その軌道はアンドロメダ銀河、さんかく座銀河(Triangulum galaxy)、および大マゼラン雲(Large Magellanic Cloud)など、近隣の銀河の重力の複合的な影響を受けています。そのため、これまでの研究では、天の川銀河がアンドロメダ銀河と衝突し、約50億年後には「ミルコメダ(Milkomeda)」と名付けられた新しい銀河を形成する可能性が高いと、10年以上にわたり指摘されてきました。

Till Sawalaら(ヘルシンキ大学〔フィンランド〕)は、ガイア(Gaia)とハッブル(Hubble)望遠鏡の最新のデータと、近傍銀河の質量の見直しを基に、天の川銀河の宇宙における100億年後の運動をシミュレーションした。その結果、その期間中に天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突が起こらない確率が約50%であることが判明した。著者らは、以前の分析で考慮されていなかった天の川銀河を周回する小さな銀河「大マゼラン雲」の重力の影響を計算に含め、不確実性を考慮することで、確率の低下を説明できる可能性があると指摘しています。Sawalaらはまた、アンドロメダ銀河との衝突以前に、天の川銀河と大マゼラン雲の合併がほぼ確実だと指摘しています。

著者らは、現時点で利用可能な最新のデータを使用しても、天の川銀河とアンドロメダ銀河のシステムがどのように進化するかは依然として不確実であり、ガイア望遠鏡からの今後のデータがより正確なシミュレーションを生成するのに役立つかもしれないと指摘している。

Sawala, T., Delhomelle, J., Deason, A.J. et al. No certainty of a Milky Way–Andromeda collision. Nat Astron (2025). https://doi.org/10.1038/s41550-025-02563-1
 

doi:10.1038/s41550-025-02563-1

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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