惑星科学:月の裏側の水の存在量の評価
Nature
2025年4月10日
月の裏側のマントルは表側のマントルよりも乾燥している可能性があることを報告する論文が、Nature に掲載される。この発見は、嫦娥6号(Chang’e-6)ミッションで採取されたサンプルの分析に基づいている。
月のマントルにおける水の存在量を理解することは、月の形成と進化についての洞察をもたらす。過去20年間に、マントル内の水の存在量に関する知識は大幅に増加し、研究者たちは、かつての伝統的な「乾燥した」という概念から、比較的「湿った」月という考え方にシフトするようになった。2024年6月25日、嫦娥6号ミッションは月の裏側の南極エイトケン盆地からサンプルを持ち帰った。これにより、この地域の月のマントルにおける水の存在量を初めて調査する機会が得られた。
Sen Huらは、南極エイトケン盆地のサンプルを分析し、月のマントルの部分溶融から生じた玄武岩に含まれる鉱物アパタイトと溶融包有物の水の存在量と水素同位体組成を報告した。著者らは、マントルの水の存在量は1グラムあたり1–1.5マイクログラムと推定している。これは、月の表側で測定された値(1グラムあたり1–200マイクログラム)の乾燥した端にある値である。著者らは、月のマントルにおける水の分布の違いは、潜在的に半球の区分を表しており、表面の特徴の違いを反映している可能性があると示唆している。
著者らは、この発見は月全体の水の存在量の推定に重要であり、月の形成とそれに続く月の進化に関するジャイアント・インパクト説の制約条件を提供すると結論づけている。
- Article
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- Published: 09 April 2025
He, H., Li, L., Hu, S. et al. Water abundance in the lunar farside mantle. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-08870-x
doi:10.1038/s41586-025-08870-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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