古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録する
Nature
2024年11月28日
糞便や嘔吐物の化石サンプルを使用し、恐竜が地球の古代生態系で優勢な生物へと進化する過程を再現したことを報告する論文が、今週のNature に掲載される。
化石の記録によると、恐竜は三畳紀中期(2億4,700万年前から2億3,700万年前)に進化していたことが分かっている。しかし、恐竜が陸上生態系を支配するようになったのは、それから約3,000万年後のジュラ紀初期になってからだった。この間、恐竜以外の四肢動物(四肢を持つ脊椎動物)の多くが駆逐されたが、恐竜がなぜ生態系を支配するようになったのかは依然として謎のままである。
Martin QvarnströmとGrzegorz Niedźwiedzkiらは、ポーランド盆地から発見されたブロマライトと呼ばれる、500以上の消化物(糞便や嘔吐物など)の化石を用いて食物網を再構築し、この移り変わりを調査した。ブロマライトは、後期三畳紀から前期ジュラ紀にまたがるものである。これらの化石(消化されなかった食物の内容物を明らかにするための内部構造の3D画像を含む)の分析結果は、気候や植物のデータとともに、既存の化石記録と比較され、この期間における脊椎動物のサイズと個体数の変化が推定された。
これらのデータは、非恐竜の四肢動物が初期の恐竜の雑食性の祖先によって駆逐され、三畳紀の終わり頃には最初の肉食恐竜や草食恐竜へと進化していったことを示している。この時点で、著者らは、火山活動の活発化に伴う環境の変化が、より多様な植物を餌とすることを可能にし、それに続いて大型で多様な草食恐竜の登場につながった可能性があることを示唆している。そして、ジュラ紀の始まりまでに大型の肉食恐竜が進化し、生態系における恐竜の支配への移行が完成した。
この分析は、ポーランド盆地の生態系における恐竜の支配の台頭に光を当てている。この手法を用いたさらなる研究は、世界の他の地域におけるこの進化の歴史を解明するのに役立つと考えられる。
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- Published: 27 November 2024
Qvarnström, M., Vikberg Wernström, J., Wawrzyniak, Z. et al. Digestive contents and food webs record the advent of dinosaur supremacy. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08265-4
doi:10.1038/s41586-024-08265-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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