天文学:太陽コロナの加熱機構の解明に一歩前進か
Nature Communications
2023年9月13日
太陽コロナは、太陽の最も外側の大気層であり、その温度は太陽の表面よりも2桁以上高いことが知られている。この太陽コロナの加熱機構に関する新たな観測結果を示した論文が、Nature Communicationsに掲載される。今回の知見によって、太陽コロナがこれほど高温になっている原因についての理解が深まるかもしれない。
太陽コロナは、プラズマと呼ばれる高温のイオン化気体を主成分とする。太陽コロナでは、極端な宇宙天気事象(フレアやコロナ質量放出など)が発生することが知られている。一方、コロナを加熱する機構については、論争が続いている。コロナのプラズマを調べるために、コロナ中の波動や振動の解析が行われている。振幅が小さく、減衰しないキンク振動(キンク波)は、複数の振動周期にわたって振幅が大きく減少しない波動の一種だ。太陽コロナのループでこうしたキンク振動の偏波を検出できれば、その励起機構と太陽コロナへのエネルギー供給を解明する上で役に立つと考えられる。しかし、キンク振動の偏波を検出することはできなかった。
今回、Valery Nakariakovらは、欧州宇宙機関のSolar Orbiterと米国NASAのSolar Dynamics Observatoryのデータを使って、数々の観測に適した位置から太陽コロナを観測した。その結果、コロナループの4分間の非減衰キンク振動が検出され、その励起機構とコロナへのエネルギー供給に関する独自の情報が得られた。Nakariakovらは、これらの観測結果とモデル化解析の結果を総合して、検出されたキンク振動がほぼ直線状に偏波していることを明らかにした。以上の知見は、このようなキンク振動の直線偏波を引き起こす準定常流がコロナを加熱するためのエネルギーを供給している可能性を示唆している。
doi:10.1038/s41467-023-41029-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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