Research Press Release
流体版四重極の作製
Nature Communications
2011年9月7日
静電四重極の流体版が作り出され、細胞生物学における幹細胞の培養手段としての利用可能性が考えられている。この成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
四重極には数多くの工学用途があり、とりわけ注目すべきなのが、荷電粒子ビームを収束させるために用いる磁石としての用途だ。一方、四重極の流体版については、これまで実験的応用の報告はなかった。今回、D Junkerたちは、磁場ではなく、流動液体によって構成されるマイクロ流体四重極を実証した。この四重極では、中心にある「よどみ点」の大きさと位置を容易に調節できる。よどみ点からは濃度勾配が形成され、溶液が極間を移動できるようになる。この流体四重極は、幹細胞のように、通常、閉じた流路内での培養が難しい細胞を培養するためのプラットフォームになるかもしれない。
doi:10.1038/ncomms1471
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications
-
社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させるNature Human Behaviour
-
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
素粒子物理学:CERNで観測されたつかみどころのない物質と反物質の非対称性Nature
-
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature