古生物学:4億6200万年前の多様な海生生物の姿をとどめるウェールズの化石
Nature Ecology & Evolution
2023年5月2日
極めて保存状態が良好な4億6200万年前(中期オルドビス紀)の海生動物相の集団が、英国ウェールズのキャッスルバンク採石場(Castle Bank Quarry)で発見され、このことを報告する論文が、Nature Ecology & Evolutionに掲載される。
バージェス頁岩型(その種の化石が最初に見つかったカナダの発掘地にちなむ呼称)の堆積物は、体内の臓器などの軟部組織が保存されており、動物の進化の理解に重要である。通常、その種の堆積物はカンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前)に限られるが、モロッコのフェズアタ(Fezouata)生物相のように、ごく少数ながら前期オルドビス紀(4億8500万~4億7000万年前)のものも存在する。オルドビス紀の新しい動物相はそれ以前のものと直接比較することができず、後に続いた生態学的展開はなかなかたどることができない。
Joseph Bottingらは、ウェールズのキャッスルバンク採石場で発見された約4億6200万年前(中期オルドビス紀)の新たなバージェス頁岩型動物相を報告している。そのキャッスルバンクの動物相は、概して小型(体長1~5ミリメートル)の多様な海生生物の群集で、消化器系などの軟部組織や、眼や視神経、脳などの神経組織が保存されているものが多い。発見された生物の中には、蠕虫類、ヒトデ類、海綿動物、甲殻類の他、カンブリア紀のオパビニア類やメガケイラ類に似た絶滅節足動物が含まれ、今回それがオルドビス紀まで生き延びていたことが示されている。
研究チームによれば、キャッスルバンクの動物相の研究に関わる国際的な活動は、顕微鏡装置の購入でクラウドファンディング計画による支援を受けており、これまでに170種以上を特定し、今後もさらに多くの分類群が特定されることが期待されているという。著者らは、キャッスルバンクの動物相はオルドビス紀の動物の初期進化やカンブリア紀からそれ以降への動物相の移行に関して新たな展望をもたらす、と結論付けている。
doi:10.1038/s41559-023-02038-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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