Research Press Release
微生物によるバイオディーゼル燃料の生産
Nature Communications
2011年9月28日
D2ディーゼル燃料の代わりとなるバイオ燃料を微生物によって生産するという目標に一歩近づいたことが明らかになった。この次世代燃料は、石油系燃料に似た特性を有し、既存の設計によるエンジンと流通・貯蔵インフラを利用でき、環境にも利益をもたらす可能性がある。この研究成果の詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
T S Leeたちは、ビサボランを生合成して、D2ディーゼル燃料の代替品として利用できることを発見し、代謝工学によって細菌と酵母を作製し、ビサボランの前駆体であるビサボレンを生合成した。ただ、残念なことに、ビサボラン生合成の最終段階には、従来の水素化が必要で、微生物を用いて実施できない。
商業的に見合う数量での生産にスケールアップするには、さらなる目覚ましい開発が必要とされるが、今回の研究は、新たなテルペン系の次世代燃料を同定し、バイオ燃料生産のための微生物プラットフォームの開発に関する手がかりをもたらした。
doi:10.1038/ncomms1494
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change