生態学:鳥類の色彩の全球的勾配を測定する
Nature Ecology & Evolution
2022年4月5日
4500種以上の鳥類の分析から、鳴禽類は、世界の熱帯地域や赤道付近に生息するものの方が、緯度の高い温帯に生息するものよりもカラフルであることが明らかになった。この知見を報告する論文が、Nature Ecology & Evolution に掲載される。今回の知見は、赤道域の動物が最もカラフルであり、緯度が高くなるほど地味になるという長年の仮説を裏付けるものである。
18~19世紀に熱帯を旅したヨーロッパの博物学者たちは、熱帯の動植物相がそれ以北の種と比べて彩り豊かであると記述していた。このような勾配の存在は長年推察されてきたが、これまでの研究は、対象とする地域が地理的に限られていたり、評価する種が少なかったり、あるいは人の目による評価などカラフルさの主観的な尺度が用いられたりしていた。
今回、Christopher Cooneyたちは、英国トリングの自然史博物館の標本コレクションのデータと共に、改良された画像化・色分類技術を使用して、4500種を超えるスズメ目鳥類の雌雄の成体の標本をデジタル撮影した。そして、ディープラーニングの手法を用いて写真の画素から情報を抽出することにより、各標本の1500の点で羽根の色(赤、緑、青、および紫外の数値)を判定した。最後に、カラフルさの直観的尺度として、標本当たりの「色座位(colour locus)」の総数を抽出した。
広範囲のパターンを見ると、色座位の数は赤道域が最も多く、緯度が上がるほど減少することが明らかになった。色の多様性は、(草原などの開けた地域に対して)密林に生息する鳥と、果実や花蜜を摂食する鳥で極めて高く、このことは、鮮明な視覚によるコミュニケーションの必要性と、食物中の発色化合物を獲得する能力が、このパターンを生じる2つの潜在的な要因であることを示唆していると考えられる。
doi:10.1038/s41559-022-01714-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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