Research Press Release
南カリフォルニア沿岸海域の汚染がヒトデ幼生の分散の障壁に
Nature Communications
2011年3月9日
非常に人口の多い米国カリフォルニア州南部の沿岸地域では、海岸線に沿って、毎日数十億リットルの下水が流出しているが、それが生態系に及ぼす影響の全容は十分に解明されていない。このほど、南カリフォルニア沿岸海域に生息する、ありふれた海洋生物バットスター(ヒトデの一種)の幼生の分散が、雨水と下水の排出によって抑制されていることが明らかになった。この研究結果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
この研究で、J PuritzとR Toonenは、南カリフォルニア湾の海岸沿いに生息する16個体群のバットスターに対する汚染物質と毒性物質の影響を調べた。バットスターは、漁獲も収穫も行われていないため、直接的な人間による影響を受けることはない。今回の研究結果は、個体群間の結合性とバットスターの遺伝的多様性が減少しており、このことが、沿岸海域への雨水・下水の排出と結びついていることを示している。
doi:10.1038/ncomms1238
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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