疫学:男性のCOVID-19重症化リスクは女性より高いことが世界規模の症例解析で明らかに
Nature Communications
2020年12月9日
このほど全世界の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例の300万例以上の解析が行われ、男性患者が集中治療室へ入室する必要が生じる確率は、女性の約3倍に達することが示唆された。また、男性患者の方がCOVID-19による死亡リスクが高いことも判明した。この研究結果について報告する論文が、Nature Communication に掲載される。
COVID-19は男性患者において重症化しやすいという偏りを示唆する証拠が得られているが、全世界で集めたデータの大規模解析による検証を経ていない。
今回、Kate Webb、Claire Deakinたちの研究チームは、政府のウェブサイトと既発表文献から得た2020年1月1日〜6月1日の92件の報告書のメタ解析を行い、性別がSARS-CoV-2感染のリスク因子なのかどうか、そしてCOVID-19による死亡率を調べた。今回の解析の対象となったのは、世界46か国と米国44州の合計311万1714件の症例で、それぞれ性別が記録されていた。その結果、このサンプル中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染患者の割合に男女差はないことが判明した。しかし、COVID-19のために集中治療室に入室する確率は、男性患者の方が女性患者よりも2.84倍高く、COVID-19によって死亡する確率も男性患者の方が1.39倍高かった。
Webbたちは、今回観察された結果の要因の1つが免疫応答の性差である可能性が高いという見解を示している。しかし、他の生物学的要因と性別に基づく併存症も影響を及ぼしている可能性がある。さらなる研究が必要だが、Webbたちは、今回の研究で得られたデータはCOVID-19の臨床管理と緩和戦略に重要な意味を持つと主張している。
doi:10.1038/s41467-020-19741-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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