Research Press Release
		
			
        
		
		幹細胞:実験室内でSARS-CoV-2の肺感染をモデル化する
Nature
2020年11月25日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎の原因である重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染を含む、肺感染症をモデル化するために使用できるヒト肺培養系について報告する論文が、Natureに掲載される。
肺組織を再生できる肺幹細胞は、肺疾患、がん、感染症の研究に使用できる肺培養モデルを実験室内で作製できる可能性がある。しかし、ヒト肺幹細胞についての我々の理解は限られたものであるため、そのようなモデル、特にガス交換が起こる肺の最末梢部のモデルの構築が進んでいなかった。
今回、Calvin Kuoたちの研究グループは、ヒト肺細胞の一部を使って、ヒト末梢肺培養モデルの作製に成功したことを報告している。このモデルは、成人の肺組織の前駆細胞として働くと考えられる細胞を特定する上で役立つ。さらに、Kuoたちは、この肺モデルが、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2;SARS-CoV-2の侵入受容体)を発現していて、SARS-CoV-2が感染してCOVID-19関連肺疾患の研究に使用できることを実証した。Kuoたちは、今回の研究で培養された肺組織が、ヒトの肺疾患を研究するためのモデルとなり、組織工学への応用を促進する可能性もあると結論付けている。
doi:10.1038/s41586-020-3014-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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