Research Press Release
鳥類の体色に対する気候の影響
Nature Communications
2011年2月23日
フィンランドに生息する褐色のモリフクロウの個体数は、過去28年間で、灰色のモリフクロウより増加したことが判明した。この研究結果は、野生鳥類の個体数が気候変動に応答して変化する場合があることを示唆している。研究の詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
今回、P Karellらは、フィンランドに生息する褐色のモリフクロウ(Strix aluco)の羽毛色の遺伝性に関するモデルを作って、色のバリエーションの約80%に遺伝性があることを見いだした。また、Karellらは、466羽のモリフクロウの生存に関するモデルも作製し、積雪の深さが大きい冬季における褐色のモリフクロウの生存率が灰色のモリフクロウより低いことを発見した。近年、冬の寒さが緩んで、褐色のモリフクロウの個体数が増えており、今回の研究は、気候変動が遺伝的形質に影響を与えうることを明らかにしている。
doi:10.1038/ncomms1213
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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