Research Press Release
サルの数量弁別能力を左右する要因
Nature Communications
2011年3月30日
サルに食べ物や食べられない物の数量を弁別させる課題を実施する際に、その課題で用いられなかった食べ物を報酬として与えると、成績が相当に良くなることがわかった。この結果は、実際に課題で用いられた物が何だったか、ということより、サルが、頭の中で、与えられた刺激をどのように認知するか、ということの方が大事なことを示唆している。この研究結果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
イヌ、ネコ、ニワトリ、一部の魚類など数多くの動物は、基礎的な算数を行って、異なる数量を弁別することができる。これまでの研究報告では、食べ物の数を弁別する課題におけるサルの成績がかなり悪かった。今回、V SchmittとJ Fischerは、アヌビスヒヒ(Papio Anubis)とカニクイザル(Macaca fasciularis)が、数量弁別課題において、食べ物ではなく、小石のような食べられない物を示された場合に、数量に関する意思決定の精度が高まることを明らかにした。また、食べ物を用いた数量弁別課題でも、弁別させるために示した食べ物とは別の種類の食べ物を報酬に与えるようにすると、高い精度で数量を弁別することもわかった。今回の知見は、頭の中での報酬のイメージの方が、与えられる刺激の外見よりも重要なことを示唆している。
doi:10.1038/ncomms1262
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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