【遺伝学】長寿に関連するRESTタンパク質
Nature
2019年10月17日
脳内の全般的な神経活動レベルにはRESTと呼ばれるタンパク質が介在しており、脳内の神経活動レベルが寿命に影響している可能性のあることを示唆する論文が掲載される。この知見は、モデル生物とヒトを用いたさまざまな研究に基づいており、ヒトの老化を遅らせるための新たなアプローチを模索する研究者を支援できるかもしれない。
神経系が老化の調節に関与していることがこれまでの研究から示唆されているが、神経系と老化の関係を裏打ちする機構を解明することは困難だった。今回、Bruce Yanknerたちの研究グループは、死後のヒト脳組織における遺伝子発現パターンを調べて、長寿者(85歳以上)の場合に神経興奮とシナプス機能に関連する遺伝子の発現が低下していることを明らかにした。
また、モデル生物を使った研究では、薬物や遺伝子操作によって脳内の神経興奮やシナプス活動のレベルを低下させることで、線虫の寿命を延ばせることが分かった。また、神経活動レベルを高めた実験では、逆の効果が得られた。以上の知見は、寿命と神経活動パターンとの因果関係を示唆している。
中枢神経系には数多くの興奮性ニューロンと抑制性ニューロンが存在し、それぞれシナプス活動を増加させたり減少させたりする。Yanknerたちは、全般的な興奮レベルと抑制レベルの不均衡が老化過程に寄与している可能性があると考えており、神経活動を弱めるRESTという哺乳類の転写因子の役割を強調している。そして、Yanknerたちは、RESTの発現レベルを高め、興奮性ニューロンの活動を減少させる方法を使って老化に影響を及ぼすことが可能だとする見解を示している。
doi:10.1038/s41586-019-1647-8
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