Research Press Release

新生児の脳損傷を回復

Nature Neuroscience

2011年6月27日

新生仔マウスが酸素欠乏によって脳を損傷しても、特殊な薬理学的処置によって部分的に回復可能なことが、Nature Neuroscience(電子版)で報告される。

脳性麻痺や、出生前あるいは出生時の酸素欠乏などに見られる白質損傷は、神経の支持細胞の一種であるオリゴデンドロサイトがミエリン形成細胞へと変化できなくなるのが特徴である。今のところこの欠陥を克服する治療法はない。同様の新規ミエリン細胞形成能の欠損は多発性硬化症を患う成人でも見られる。

D Rowitchらは、Axin2と呼ばれるタンパク質が、ヒト新生児の白質損傷部と、多発性硬化症病変に発現していることを明らかにした。酸素欠乏新生仔マウスにおいてAxinタンパク質を安定化する薬剤を試してみたところ、オリゴデンドロサイトの機能を促進できることがわかった。この処置は、低酸素損傷を起こしたマウスの培養細胞においても白質路の再ミエリン化を促した。

doi:10.1038/nn.2855

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度