Research Press Release

p53の変異はがん細胞の代謝に影響を与える

Nature Cell Biology

2011年2月21日

腫瘍抑制タンパク質であるp53の喪失は、がん細胞が代謝経路の切り替えを行う基盤となっている可能性が出てきた。がん細胞はこの切り替えによって、得られる栄養が限られていても急速に増殖できるようになる。この知見はがん発生におけるp53喪失の重要性をさらに強調するものだ。

p53は、核内での遺伝子転写調節によりがん細胞の代謝を調整することが知られている。X Yangたちは、p53の機能が失われた細胞は酸化的ペントースリン酸経路(ox-PPP経路)を介して大量のグルコースを消費しており、これがグルコースから細胞構成要素を新たに生合成するのを助けていて、がん細胞の増殖にとって不可欠であることを見いだした。

p53は、核外ではox-PPP経路中で働く重要な酵素と相互作用していることがわかった。p53は本来はこの酵素を阻害してox-PPP経路を遮断しているのだが、p53が失われると遮断が解除されてこの経路が活性化すると、著者たちは考えている。この論文に関連したNews & Viewsでは、E Gottliebがこの「p53の影響は、細胞質におけるp53の触媒的、つまり酵素にかかわる役割を示している点で関心が持たれる」と述べている。

doi:10.1038/ncb2172

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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