Research Press Release
遺伝的祖先と白血病再発との相関
Nature Genetics
2011年2月7日
アメリカ先住民と相関する遺伝的マーカーが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療を受けたが再発リスクの高い小児患者に関連していることが判明した。この結果を報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
ALLの小児患者の生存率に民族差があることを報告する臨床研究論文が、これまでに数多く発表されており、ヨーロッパ系アメリカ人やアジア人と比べてアフリカ系アメリカ人やヒスパニック系の生存率が低いことが明らかになっているが、この民族差の根底にある原因はわかっていない。今回、M Rellingらは、ALLの小児患者(2534人)の遺伝的多型を解析し、既知の予後因子の補正を行った結果、アメリカ先住民と相関する遺伝的多型が、化学療法後の高い再発リスクに関連していることを見いだした。また、今回の研究では、化学療法に新たな段階を追加すると、再発リスクの民族差が解消することも判明しており、治療法の修正によってALLの小児患者の転帰における民族差を軽減できることが示唆されている。
doi:10.1038/ng.763
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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