Research Press Release
【医学研究】ブラックマンバの毒に対する新しい抗毒素候補
Nature Communications
2018年10月3日
ブラックマンバというヘビの毒による健康障害を治療する可能性を秘めた、新しいヒト由来抗体カクテルについて発表する論文が、今週掲載される。この研究知見はマウスで実証されており、今回のヒト由来の抗体が、毒ヘビ咬傷に対して現在用いられている抗毒素より安全で有効な治療法をもたらす可能性があることを示している。
ブラックマンバの毒は、強力かつ即効性で、咬まれても治療せず放置した場合の致死率は高い。この毒液には複数の毒素が含まれており、その1つであるデンドロトキシンは、神経系に到達して被害者の体を麻痺させ、死に至らせることもある。現在用いられている抗毒素は、過免疫化動物の血漿に由来するものだが、高コストで治療効果も限定的な上、投与された患者に血清病や重度のアナフィラキシーといった重篤な反応を引き起こすことがある。
今回、Andreas Laustsenたちの研究グループは、ブラックマンバのデンドロトキシンを中和できるヒト抗体カクテルからなる実験的組換え抗毒素を同定した。この実験的抗毒素をマウスモデルに投与すると、ブラックマンバの毒の神経毒性作用が停止した。今回の研究は、抗毒素候補を同定し、検証するための新しい方法をもたらすものである。
doi:10.1038/s41467-018-06086-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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