Research Press Release
敵と味方のかぎ分けを学習するハエ
Nature Neuroscience
2011年6月20日
雄のショウジョウバエが別の雄に示す攻撃行動は、それ以前の社会的接触とフェロモン検知によって決まることが、Nature Neuroscience(電子版)の論文で報告されている。
Yi Raoらは、前もって雄のフェロモンにさらされた雄のショウジョウバエは攻撃性が鈍ることを発見した。初めのうち、雄のハエは他の雄の匂い物質を検知すると攻撃しようとするが、雄のハエが社会集団をつくると通常この応答が減少する。Raoらは、最初の攻撃はフェロモンが嗅覚受容体の1種類を活性化することにより引き起こされるが、時間が経つと違う受容体が活性化され攻撃行動の減少をもたらすことを確認した。
これらの結果はショウジョウバエの攻撃性の調節を説明する手がかりになり、他の動物でもこの種の行動を薬物を使った方法で減らせる可能性を示唆する。また、同じフェロモンでも持続時間とフェロモンにさらされた社会的状況によって2種類の行動を引き起こしうることが示されている。
doi:10.1038/nn.2836
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
