【考古学】ストーンヘンジにウェールズ出身者も埋葬されていた
Scientific Reports
2018年8月3日
ストーンヘンジに埋葬された新石器人の一部が、地元出身でなかったことを示唆する研究について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、人間の火葬遺体の分析が新たに行われ、埋葬された人々の一部が英国西部の別の地域(西ウェールズである可能性が非常に高い)の出身者であり、埋葬するためだけにストーンヘンジまで運ばれた人もいた可能性のあることが明らかになった。
ストーンヘンジは、英国で最大級の新石器時代後期の墓地遺跡であり、これまでは主にその建設に関する研究が行われてきたが、ストーンヘンジの周辺で生活していた人々やストーンヘンジに埋葬された人々についてはほとんど分かっていない。
今回、Christophe Snoeckたちの研究グループは、ストロンチウム同位体分析法を用いて、ストーンヘンジで発掘された25体の火葬遺体(紀元前3180~2380年のものとされる)に由来する骨の断片を再分析し、その再分析結果を現代の英国の植物、水、および歯のデータに基づいた記録と比較した。その結果、Snoeckたちは、そのうち15体がストーンヘンジ出身者で、残りの10体は、死ぬ直前に地元との結び付きがなく、死亡するまでの少なくとも10年間は英国西部で過ごしていた可能性が非常に高いことが示唆されたと結論付けている。
また、今回の研究からは、遺体の火葬はさまざまな種類の燃料を用いて、さまざまな条件下で行われたことも示唆されている。地元出身者と同定された遺体の火葬は、ウェセックス地方の地形と矛盾しない広大な土地で生育した樹木由来の薪を山積みにして行われたのに対し、その他の遺体の火葬には、西ウェールズにあるような、樹木が密生している森林地で伐採された木材の薪が用いられたことが示された。Snoeckたちは以上の分析結果から、ストーンヘンジで発掘された遺体の一部が、別の場所で火葬に付されてから、埋葬目的でストーンヘンジに運ばれてきたことが示されていると考えている。
doi:10.1038/s41598-018-28969-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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