Research Press Release

古代の温暖期におけるゆっくりとした炭素放出

Nature Geoscience

2011年6月6日

暁新世-始新世温度極大期(PETM)における炭素放出の最大速度は今日の値よりもずっと低かったとの報告が寄せられている。PETM(約5600万年前に起きた古代の温暖化事件)は、将来の気候変動に対する類似型とされることがある。しかしながら、この発見はこの気候事件はこれまで推測されていたような急激な環境変動ではない可能性を示唆している。

Y Cui、L Kumpらは堆積層記録と計算機モデルを組み合わせて、約17万年間継続したPETMにおける炭素放出の時期と大きさを評価した。シミュレーションは、炭素は3回のパルスにより付加され、これらのパルスにおける炭素放出は年間約1.7ペタグラム以上の速度とはならないことを示している。比較のために現在の化石燃料による炭素放出を示すと、それは年間8ペタグラムを超えている。

研究チームは、PETMにおける炭素の放出量は、現在利用可能と見積もられている埋蔵された化石燃料の全量を燃焼させた時に大気に注入されうる量とほぼ等しいと指摘している。

doi:10.1038/ngeo1179

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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