Research Press Release
【物理科学】深部組織の3Dイメージング
Communications Physics
2018年2月23日
超音波を用いた実験的に単純な方法により、がん性腫瘍の3D画像生成がマウスを使って実証されたことを報告する論文が、今週新たに創刊されたCommunications Physics に掲載される。この方法によって腫瘍の高分解能3Dマップ(光音響画像)が生成され、複雑な計算過程が不要となる。
今回、Jan Lauferたちの研究グループは、レポーター遺伝子をがん細胞に導入して、電磁スペクトルの近赤外領域の光を吸収するタンパク質AGP1が産生されるようにした。これらの遺伝子導入されたがん細胞にレーザー光を照射すると、レーザーによって生成された超音波が発生する。この超音波を利用し、二波長検出法を用いることによって、がん組織の3D画像が得られた。Lauferたちは、このシステムを用いて、深部組織イメージングの検出感度をこれまで可能だったレベルより高めることができた。
Lauferたちは、この方法がさまざまな光音響イメージングシステムに適用可能で、がん性腫瘍の検出だけでなく、生物の細胞過程や遺伝過程の内部機序の分析能力の向上にも役立つという考えを示している。
doi:10.1038/s42005-017-0003-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
健康:長期的なコロナウイルス感染症の後遺症は月経障害と関連するNature Communications
-
気候変動:温暖化が熱帯地域の土壌からの二酸化炭素排出を増加させるNature Communications
-
物理学:塩分を含んだ氷を用いた発電Nature Materials
-
環境:アマゾン先住民の領域が人間の健康に恩恵をもたらすCommunications Earth & Environment
-
動物学:タコはあらゆる作業に最適な腕を前面に出すScientific Reports
-
気候変動:主要な炭素排出源が熱波の強度と発生確率に影響を及ぼしているNature