ヒト研究に関するNIHの方針転換に対する世界からの反応
Nature Human Behaviour
2018年1月23日
米国立衛生研究所(NIH)が近く予定している、ヒトを対象とする研究に関する方針の転換に関する世界の専門家たちによる考察が、今週、Nature Human Behaviourの特集号として掲載される。
生物医学研究の世界最大の資金提供機関であるNIHは、2018年1月25日付で方針を転換する。この方針転換は、ヒトを対象とした研究を行っている米国内の研究所の大半に影響を及ぼすことになる。本特集のOpinionでは、今回の方針転換について数本の記事で概説しており、新方針の策定に大きな役割を果たしたNIHのMichael LauerによるCommentや、新たな方針の適用に関する実際的な情報についてのCommentも掲載する。
資金拠出の決定や、科学的知見の信頼性、税金が投入される研究への公衆からのアクセスに関して長年にわたって広く議論されてきた懸念が、今回の方針転換につながった。今後は、実験デザインの事前登録や全ての成果の報告、科学的行為に関する代表研究者の訓練といったこれまで求められていなかった事項が、多様なヒト研究について義務化されることになる。
影響を受ける研究者たちとNIHとの間で行われた数カ月に及ぶ議論の結果として、本特集号には、複数のCorrespondenceも掲載する。Correspondenceでは、各国の研究資金提供機関および研究規制組織、非営利組織、シンクタンクの代表者たち、さらには米国および欧州の主導的な基礎科学研究者および臨床研究者が、新方針導入時の問題点および今後の可能性を指摘している。影響を受ける研究者たちとNIHとの間で行われた数か月に及ぶ議論を受けて、各国の研究資金提供機関および研究規制組織、非営利組織、シンクタンクの代表者たち、さらには米国および欧州の主導的な基礎科学研究者および臨床研究者による意見も掲載されている。こうした寄稿から、NIHの方針転換が究極的には、米国市民のみならず、科学の規制に関して世界的に影響を及ぼす可能性があることが示唆される。
また、Q&Aでは、新方針の策定および発表に関わったNIHの外部研究部門の副部長Mike Lauerが、研究費申請および評価プロセスの詳細に関する研究者向けの新たな情報について述べている。さらには、一般市民の理解に対する懸念についても述べられており、今回の方針転換が、主要な政策立案者たちを含む広いコミュニティに対して明確かつ効果的に伝達されることがいかに重要であるかが強調されている。
doi:10.1038/s41562-018-0304-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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