【健康科学】インプラント周囲疾患を発見するためのチューインガム
Nature Communications
2017年8月16日
歯科インプラントを原因とする炎症を発見できる診断用チューインガムについて記述された論文が、今週掲載される。このように簡単で「いつでもどこでも誰にでもできる」方法は、インプラント周囲疾患の診断を簡便に実施できるようにするために役立つかもしれない。
「いつでもどこでも誰にでもできる」診断法は、臨床検査を行わずに医療診断を実施しやすくすることを目指している。こうした方法によって陽性の診断が行う場合には、発見しやすく誤解釈の恐れの少ないシグナルが用いられる。
今回の研究で、Lorenz Meinelたちは、インプラント周囲疾患を発見するためのバイオセンサーを開発した。このバイオセンサーを口に含んで苦味を感じればインプラント周囲疾患を発症していることになる。Meinelたちは、このバイオセンサーを別の化合物と結合させた上で、チューインガムに埋め込んだ。このチューインガムを健常者が噛むと何の味も感じないが、インプラント周囲疾患が発生すると、このバイオセンサーを切断する特定の酵素の産生量が増え、苦みの強い化合物が放出される。今回の研究では、化合物の苦味を感知し、インプラント周囲疾患の患者と無症状の志願者の唾液サンプルを区別できる「人工舌」が用いられた。
このチューインガムは、臨床環境における志願者による検証を経ていないが、複雑なキットの使用と診断時の専門医の介入が不要になる可能性がある。Meinelたちは、このチューインガムが将来的には歯科医院で利用され、個人目的の使用もなされるようになるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-017-00340-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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