Research Press Release
肝細胞がんの遺伝的特性
Nature Genetics
2011年4月18日
C型肝炎ウイルス(HCV)陽性の慢性C型肝炎(CHC)患者から得た腫瘍のゲノムを解読する研究とC型肝炎ウイルス誘導性肝細胞がん(HCC)のリスク座位に関する研究が、それぞれ独自に行われ、その結果を報告する2編の論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
C型肝炎ウイルスの感染者数は、全世界で1億7000万人を超えている。このウイルスに感染すると、慢性C型肝炎になり、その結果として、肝硬変や肝細胞がんを発症する。
国立がん研究センター研究所の柴田龍弘らは、日本人男性から採取した原発性C型肝炎ウイルス陽性肝細胞がんの腫瘍細胞とそれに対応する正常細胞のゲノム塩基配列を解読し、数千個の腫瘍特異的な変異を同定した。一方、東京大学医科学研究所の松田浩一らは、日本人のC型肝炎ウイルス誘導性肝細胞がん患者1394人を対象としたゲノムワイド関連解析を行い、染色体6p21において、C型肝炎ウイルス誘導性肝細胞がんと強く関連する座位を同定した。
doi:10.1038/ng.804
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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