【生体医用工学】体の平衡が崩れた時の立て直しに役立つロボット装具
Scientific Reports
2017年5月12日
不意に転倒しかけて体のバランスを崩した時に体勢を立て直す力を補助するロボット装具について説明するSilvestro Miceraたちの研究グループの論文が、今週掲載される。Miceraたちは、この装具が高齢者の転倒防止に利用できる可能性があると考えている。
この論文で紹介されているのは、外骨格型ロボット装具の一種であるアクティブ骨盤装具(APO)であり、APOを装着した者が転倒しかけて体のバランスを崩すと、APOは、アルゴリズムを用いて体のバランスが崩れたことを検出し、股関節に反作用トルクを供給してバランスの回復を助ける。今回の研究では、高齢者(平均年齢68.9歳)8人と(膝の上を切断した)経大腿切断者2人の参加を得て、APOを使用した場合と使用しなかった場合の試験を行った。これらの参加者には、(安全装具を着用した上で)参加者を転倒させるような動きをする特別設計のトレッドミルの上を好きな速さで歩いてもらった。その結果、参加者がAPOを装着した場合に転倒に対する安定性が向上し、APOが「必要な時に助力する」挙動をとることが原因であることが明らかになった。Miceraたちは、被験者を追加して、この試験結果を確認する必要があると指摘している。
また、Miceraたちは、ロボット装具が転倒事象において高齢者と身体障害者を補助し、その生活の質を向上させる可能性のあることが今回の研究知見によって実証されたと考えている。
doi:10.1038/srep46721
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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