Research Press Release

【物理】有害な放射性物質を遠隔探知する方法

Nature Communications

2017年5月10日

放射性物質を遠隔探知する新たな方法が実証されたことを報告する論文が、今週掲載される。遠隔探知ツールの利用は、放射性物質の安全な取り扱いに役立ち、原子力発電所の事故や核兵器の探知など原子力災害に対応する際に利用できる可能性がある。

ガイガーミュラー計数管やイオンチェンバー検出器などの従来の放射線探知器は、放射線源の遠隔探知の点で技術的限界があった。例えば、ガイガーミュラー計数管は、最大3.5 m離れたところにあるコバルト60が発する1ミリキュリー(mCi)の放射線を探知できるが、それより少量の放射線やそれより遠くにある放射線源の探知はできない。

今回、EunMi Choiたちの研究グループは、高出力パルス電磁波を用いて放射線源を高感度で探知する方法を実証した。この技術は、数年前に提案されたものだが、今回の研究で、その妥当性が実験的に確認された。この研究では約1.2 m離れた放射線源(0.64 mCiの放射線を発するコバルト60)を探知できることが実証されたが、さらなる最適化によって最大1 km離れた放射線源の探知も可能になるという考えをChoiたちは示している。

doi:10.1038/ncomms15394

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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