Research Press Release
マラリア予防に新たな標的候補
Nature Communications
2011年11月9日
マラリア原虫のチロシルtRNA合成酵素が、ヒトのマクロファージに結合して、その内部に取り込まれ、免疫応答を引き起こすことが明らかになった。この新知見は、チロシルtRNA合成酵素がマラリア予防法の新たな標的となる可能性を示唆している。
チロシルtRNA合成酵素は、タンパク質の翻訳に必要なハウスキーピングタンパク質である。今回、A Sharmaたちは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のチロシルtRNA合成酵素の構造を解明し、この酵素に含まれる特定のモチーフによってチロシルtRNA合成酵素がマクロファージに結合することを明らかにした。この酵素がマクロファージに結合すると、マラリアの病態生理において重要な役割を担っている炎症促進性サイトカインの分泌が誘発される。
今回の研究の結果、チロシルtRNA合成酵素がマラリア原虫の感染予防における重要な標的の1つとなる可能性が浮上した。
doi:10.1038/ncomms1522
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature