Research Press Release
成体幹細胞を見つけ出す方法
Nature Cell Biology
2011年11月28日
生物の細胞内の一分子を数えることに基づいた方法が、恒常状態や老化過程、再生過程にある組織における成体幹細胞の同定に役立つことが明らかになった。 哺乳類の腸は成体期全体を通して組織が活発に再生するが、今回A van Oudenaardenたちは、マウスの腸幹細胞の機能に関連があるとされてきた数種類の遺伝子のRNA転写物の観察を行った。その結果、それぞれ異なる増殖特性や再生特性を有する細胞の一意的なマーカーと考えられていた遺伝子の転写物が、重複して発現し、複数種類のものが同じ細胞内に存在することが判明した。また、一部の分子マーカーの空間的発現が、組織の損傷後に変化していることもわかったのだが、このことは、これらのマーカーに対応する細胞が再生に関与している可能性を示唆している。この仮説については、さらなる検証が必要と考えられる。 今回発表された方法は、機能研究によって補完されれば、ほかのマウスの組織において再生特性を有する成体幹細胞を同定するうえでも役立つと考えられる。この方法をヒトの組織にも利用できるかどうかについては、今後の研究を待たなければならない。
doi:10.1038/ncb2384
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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