Research Press Release
腸内の平穏を保つ
Nature Immunology
2011年2月21日
腸の免疫細胞と腸内微生物叢の相互作用が腸を守り、炎症性免疫応答による過剰な組織損傷を防いでいることが明らかになった。
我々の腸は生まれたときには無菌だが、すぐに有益な細菌や微生物が棲み着き、これら腸内微生物と共生せざるを得なくなる。G Eberlたちは、新生マウスや無菌マウスの腸には、免疫分子であるIL-22を大量に発現する自然免疫細胞が存在することを明らかにした。IL-22は、腸の内壁を覆う細胞に抗菌物質を生産させる。微生物が棲み着くと、別の免疫分子IL-25が生産されることによってこの抗菌物質生産過程が阻害される。
腸の病原菌感染や有毒化学物質の摂取によって腸に損傷が起こると、IL-22の発現と抗菌タンパク質生産が活性化され、腸の「平穏な」状態への回復が促進される。
doi:10.1038/ni.2002
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change